【試作】 – 魔界編 ~ 狂気の宴 ~

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「あぁああ~……もうやめてぇぇ……ッ!!!やめてくださいぃイイイッ!!許してくださいいっ!!ひいいっ、ひいいいーーーーーッ!!」

無様な鼻声で泣きあえぐ少女の声。

床の上を転げまわりながら、魔法少女ユキは泣いて許しを請うていた。
魔物たちに囲まれ足蹴にされて。

この魔界に囚われ、何度犯されただろう。尻の穴を掘られ、口腔内を生臭い舌で蹂躙され、膨らみかけの乳房に牙をたてられ、尻肉を叩かれ、尿道をほじくられ……。

頼れる相棒だった妖精の少年フルールも、ユキの目の前で魔物たちのオモチャに成り果ててしまっている。

『妖精狩り』の魔人ゼードに敗北した際、ひとたびは人間の姿に変えられたフルールだったが今は元のサイズに戻されてしまっている。

その方が復讐する側の魔物達には都合が良いのだろう。手のひらに収まる大きさに戻されてからの妖精の少年は雑巾絞りのように捻られたり、虫のようにピンを刺されて嬲られ続けているのだ。

か細い悲鳴をあげて悶える、かつての小さな勇者。

その有様を見せつけられながら、少女はひたすら許しを乞う。

許してください、と。
もうこれ以上は酷いことをしないでください、と。

唾棄すべき悪魔たちに向かって無様に土下座を繰り返す裸の少女。

あまりにも惨めすぎる姿。それが、魔法少女ユキの結末だった。

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魔界。

そこは一条の光も差さぬ常闇の世界。太陽は失われ、大地にはおぞましい異形の生物が蠢いている『最悪の異世界』。

それが魔界だ。

魔界に生きる魔物達にとっては、人間とは餌や遊び道具にすぎぬ存在だ。

魔物達から見れば『人間界』、すなわち『人間が繁栄している異世界』は楽しい狩場に過ぎない。

かつて『人間界』にて多くの悪しき魔物達を封印し続けた魔法少女ユキへの報復は、彼女をこの魔界へと連れ去ることから幕を開けた。

魔界であれば、魔族たちは思う存分に様々な力を行使できる。言い換えるならば、魔族たちの本領は彼らのホームグラウンドたる魔界でこそ発揮できるということ。

忌まわしき『封印の小瓶』から解放された魔族たちは、迷うことなく仇敵の少女達を人間界から魔界へと運び去ったのだった。

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魔物達による復讐の狂宴。

その舞台として選ばれたのは、とある魔族の貴人の館だった。

壮麗な石造りの建造物だが、壁や柱、天井全体には妖樹がくまなく根をのばし、魔族好みの内装が施されている。

壁や天井、床のところどころに巨大な目玉のような魔生物が張り付き、その目から様々な色の光を放って薄明りを作っている。

魔術によって作られた照明虫が生み出す、幻想的な世界。

その中で跳ね狂う白い肌。飛び散り輝く玉の汗。

一人の裸の少女が異形の魔物達によって嬲られ続けているのだ。

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「クヒヒ! いい恰好だなぁ、ユキちゃんよぉ!」

蜂のような魔物が、戦う力を失った魔法少女を蹴りあげる。

「ふぐぅっ!」

もはや露わになった胸を隠す余裕すらなく、蹴られた場所をかばう少女。

そう。

魔人ゼードに敗れ、魔界に連行されてからの彼女はまともに服を身に着けることすら許されなかった。

彼女の体を守っていた魔法の聖衣はほとんどが失われ、今は頭部のティアラと片手片足の手袋とブーツが残るのみ。なおもそれらを身に着けることが許されているのは、むろん魔物達の情けによるものではない。

辱めのためだ。

かつては絶対的な守護の力を誇った、魔法少女の聖衣(コスチューム)。
その残骸こそは、それを身にまとう者が魔法少女であったことの象徴(シンボル)である。

それを目にすることで、魔物達は思い出す。人々に仇なす邪悪に対し、高らかに封印の執行を宣言する少女と妖精の姿を。

その記憶が蘇るたびに心に誓う。

目の前の少女がいかに哀れに泣き叫ぼうが慈悲を乞おうが、絶対に許すわけにはいかないのだと。

たとえ一時とはいえ自分達を『封印の小瓶』に閉じ込め、恐怖と絶望を与えたのだから。

しかるべき報いを与えねばならない。

死に勝る痛苦を。恥辱を。
すなわち、凌虐を。

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魔物たちの飽く事なき悪意に前にして、魔法少女ユキとその相棒、妖精フルールは思い知る。

魔物の何たるかを。

その恐ろしさとおぞましさを。

あの、夏の日の夜。

復讐に滾る異形と異能の化け物たちに囲まれたとき。

魔法少女ユキと妖精フルールは、自分達が封印した魔物達が解放されることがいかなる事を意味するのかを思い知らされた。

彼らの故郷である魔界へと連れ去れ、その先に待ち受けていたのは人ならざる者達の底無しの憎悪が煮えたぎる、魔の狂宴。

魔法少女と妖精の少年は、まさに生きながらにして地獄に墜ちたのだった。

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魔物たちによる復讐の宴。それはまさに狂気の沙汰そのものだ。

魔物達はユキの肉体のみならず精神を嬲ることを好んだ。ことさらに屈辱的な行為を強要し、恥辱にむせび泣く少女を笑いものにして楽しむのだ。

痛苦から逃れるべく許しを乞うユキに対し、尻文字で自分の名や年齢などを書いて見せろと言う者もいた。

犬のように舌を出してチンチンのポーズをさせ、屈服の言葉を言わせるものもいた。

魔物達の要求は、どこまでも残酷かつ低俗であり、ひたすらに幼稚で卑猥。そのような行為を、嬉々として強要し続けるのだ。

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それに対して、魔法少女ユキは理知的な少女だった。

学校では図書委員をつとめ、読書を愛し、周囲の人々に対して優しさを忘れることがなかった優等生。

柊 雪(ひいらぎ ゆき)という美しい名のとおり、彼女は静かな強さと清い心の持ち主だった。

そんな彼女の転機。
それが妖精の少年フルールとの出会いだった。

人知れず夜の街の闇に蠢く魔物たちの存在を知った彼女は、愛する人々を守るため魔法少女となり、邪悪な者達を封印する戦いに身を投じる事を受け入れた。

そして、多くの魔物達を封印し続けた。

しかし戦いに敗れて捕らわれの身となった事で、彼女の運命は暗転した。

復讐に猛る魔物たちによって、肉体と精神を嬲り抜かれ、尊厳は徹底的に踏みにじられた。

もともと清潔と礼節を大切にする性格だっただけに、魔界に墜ちてからの汚辱と痛苦に満ちた責め苦は耐えられるものではない。

死ぬことも、壊れることすら許されず。

今も、少女は魔界の闇の中で鮮烈な叫びを上げ続けているのだ。

 

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しかし。

そんな地獄のなかでもユキの中には、唯一の希望が残されていた。
命に替えてでも守らなくてはならない宝物が。

 

それは。

 

「お願いですっ!、お願いですううウウッ!!私の、私とフルールの赤ちゃんだけは許してっ、とらないでえええええっ!」

 

響き渡る少女の叫び。
その後に続くのは、なりふり構わぬ懇願。

 

「うう゛ッ!!ひっぐ、ヒッ、ヒッ…私は、私はなんだってします!!皆さんの前でちゃんとウンチもしますっ!!オチンチンもおしりの穴もキチンと舐めます!!だから、だから赤ちゃんだけはっ!!赤ちゃんだけはゆるしてえ゛ええええっっっっ!!」

 

そう。
ユキの腹はぽこり、と膨らんでいた。

ユキたちが堕ちたあの日。
命じられるままに、人間の姿に変えられた妖精の少年とまぐわったあの時。

皮肉にも二人の愛はその結晶を結んでいた。ユキの胎内にはフルールとの子が宿っていたのだ。

しかし、それは魔物たちの新たなおもちゃが出来たということでしかなかった。

魔物たちによるユキへの凌虐は、さらに悪辣さを増した。

お腹の中の子を守ろうとする少女に対し、よりいっそうの創意工夫を凝らした加虐がおこなわれたのだ。

例えば。

拳を握りしめ、ユキの腹に当てるフリをしては、寸止めする。

あるいは。

魔物の腕力で抱きしめ、内臓が潰れるのではないかというほどに腹を絞めあげる。

 

そのような虐待が何度も何度も繰り返された。

 

そのたびにユキは怯え、泣き叫ぶ。

「……やめてぇっ! お願いします、やめてくださいっ! 許してくださいぃい……っ……!」

お腹の子を守ろうと必死に身をよじり、許しを乞う。

「…ご、ご奉仕させてください……っ! 皆さまのおチンチン、お口でペロペロさせてくださいっ! 私、一生懸命やりますから! お願いします! お願いしますっ!」

魔物たちの関心をお腹の子からそらそうと、口や指での奉仕を自ら懇願するかつての魔法戦士。

ゲタゲタと笑いが響いた。

一時的に肉体の拘束から解放されることもあったが、それもまた余興のひとつ。

鎖を外されて安堵する間もなく、尻を蹴りあげられる少女。

「……ひぃぎっ!? …や、やめてっ! やめてええええっ!!」

ふたたび、腹をかばうようにうずくまるユキ。
魔物たちはその頭を踏みつけ、背中を何度もムチ打って楽しむのだ。

 

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魔法少女ユキが妖精フルールとともに封印した魔物の数は30を超える。

つまりそれは、この魔界にて30を超える魔物たちが入れ替わり立ち替わりユキ達への報復を続けているということだ。

「ぐふぐふふっ! ほれ見ろや!」

この時、ユキの前に立ったのは、とりわけ残忍かつ下劣な性分の魔物二匹だった。

ガチガチと震え、許しを懇願するユキの前にディルドゥが誇示するように突き出される。

自分の肘から下ほどもある凶悪なサイズのものが。

それが二本も。

 

「ニンゲンの世界で遊びまわってた時に手に入れた逸品よ」

 

「あいつらのカガクってやつもバカにできねえよな。このスイッチってヤツを捻ると、すげえ勢いで震えやがる!」

 

二匹の魔物が『大人のオモチャ』を敗北の魔法少女に嬉々として見せつける。

 

「ぎひひひっ!!腹んなかのガキにしっかりマッサージしてやるからな!」

 

「ケツの穴もたっぷりえぐってやるぜ小娘ェ!!俺たちに逆らったこと地獄で後悔しやがれ!!」

 

異形の化け物達がニタニタと下卑た笑みを浮かべながら、手にした得物をユキに見せつける。

 

「いやっ、…やめてっ、やめてぇえええええっ!!」

 

屈強な魔物の腕に押さえつけられながらも、狂ったように少女は抵抗する。

 

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死に物狂いの抵抗が功を奏したのか。
あるいは汗まみれの肌がぬめり、すべったのか。

一瞬ではあるが、ユキの手が魔物による拘束をふりほどく。

惨めな姿で駆け出すユキ。

今なお魔法少女のコスチュームの一部、残骸をまとっている恰好は、ある意味では全裸以上に惨めかもしれない。

それは敗北の魔法少女が魔物の群れから必死に逃げようとしている姿に他ならないのだから。

しかし。そのような有様でもなお、ユキは諦めずに逃れようとした。

 

彼女が守ろうとしているのは我が身ではなく、お腹の中の子供なのだ。

しかし、ここは魔界。
彼女を囲むのは、復讐心に燃える異形異能の魔物たち。逃亡など成功するはずもない。

 

突如、彼女の周囲の床から幾本もの触手が弾けるように出現する。

数歩も駆けることがかなわずに、ユキは捕らえられてしまった。

 

「あっ…ぁあ!」

悲鳴をあげるユキ。触手の一本一本がユキの四肢ほどに太く、そして樹木の根のように強靭だった。今度はとても振りほどけそうにない。

 

「捕獲(バインド)」

一人の女魔人が、優雅に指先を操り魔法陣を宙に描いている。

女魔人の体の所々を飾る宝玉の装飾と身を包む黒い光沢のドレス。張りのあるピンクの肌。
その優美さは、彼女が他の魔物とは一線を画する存在であることを物語っている。

しかし、頭からは髪の毛ではなく数本の触手を生やしており、それらをうねらせながら粘りつくような笑みを浮かべる姿は、淫靡そのもの。

『触手の魔女』と形容すればピタリとはまる容姿の持ち主だ。

そんな女の魔人がクスクスと含み笑いをしつつ、呆れるように言った。

 

「いやぁねー。いったい、どこに逃げられると思っているのかしらぁ?」

 

瞬時にしてユキの四肢は触手に巻きつかれ、Xの字に拘束されて宙に持ち上げられる。

「あぐっ、ぁあっ!」

無理やりに体を引っ張られて苦悶するユキ。

 

「へへ! 姐さん、ありがてぇ!」

ディルドゥを手にした二匹の魔人が女魔人に対し、媚びた口調でペコペコと頭を下げる。

 

「ですが、もうちょい小娘の脚を上げてくれますかね?」

どうやら魔人達の間にも明確な実力差、格の違いがあるようだ。
触手を召喚した女魔人は明らかに上位の存在だった。

 

下賤な魔物の要望に対し、女魔人は不快げに唇を歪めつつも『必要ならば仕方ない』といった素振りで頷いて見せる。

ついと、上を向く魔女の人差し指。
それに合わせて触手がゆっくりとユキの体を宙へと持ち上げていく。

 

「…ひっ…!? …いや、やあっ!やぁああ!!」

 

慌てて手足をバタつかせるユキ。
しかしXの字に開いた四肢は閉じる事はできず、ついには股間の位置が魔物たちの目の高さまで持ち上げられていく。

 

「…あ…ぁあああ……。…ああ…」

 

圧倒的な恐怖と羞恥。
ユキが漏らす絶望の呻き。

 

しかし、その少女の苦悶こそがこそが報復の魔物たちにはたまらない愉悦なのだ。

 

嬉々とした様子でユキの開いた脚の下に潜り込む二匹の魔人。

 

それぞれの手に握られた、極太の玩具。
その先端が狙うのは —— 。

 

「ああぁ……お、おねがいぃぃ……赤ちゃんは…あかちゃんだけ…」

 

必死にお腹の子の命乞いをする少女。しかし、魔物がその切実な願いに耳を傾けるはずもない。

メリメリ、メリメリ、と体の中から悲鳴が聞こえた気がした。
膣が、尻穴が無理やり開かれていく感覚。

「イッぎ、っ!! ああ゛ぁぁあ゛あぁああーーーーーーーー!!!ひぎいいいいいいいいっ!!

 

白目のまま歯を食い縛る唇の隙間からは、よほど強く噛み締めたのだろうか。赤いものも混じった白い泡を吹くユキ。

肛門と、膣の肉が冗談のように広がり、砕けよ折れよと言わんばかりにディルドゥを食い絞めている。

ここまでされてなお膣口は裂けておらず、ギチギチと股関節が軋みながらも肛門の括約筋が伸び続け、グイグイと責め具を飲み込んでいく。

人体の神秘のようだった。

 

「あぎぃいいぁぁあ゛あぁああーーーーーやめてやめてぇ、もぉや゛めぇえええええーーー!!!」

 

薄闇の中に響き渡るユキの悲鳴。
喉が裂けんばかりの絶叫。

 

それを軽く聞き流して、二匹の魔人は腕を素早く前後させてディルドゥでユキの肉壁を穿ち続ける。

 

じゅぽじゅぽじゅぽじゅぽじゅぽ、めりめりめりめりめりめりめり、ぬこぬこぬこぬこぬこぬこぬこ、めこめこめこめこめこめこめこめこ

 

「ほお゛ぉおおおおッ!!!!!!!オッオオオッ!!んオ゛ぉおぉううううーーーーーーーっ!!!」

 

少女らしからぬ叫びをあげ、あらゆる体液をまきちらしてユキがのたうつ。その様が魔物たちには愉悦そのもの。

 

「ヒヒヒ、すげえ顔してマン汁ぶしゃぶしゃ垂らしやがる」
「うわ、腸液だらだら垂らしやがって、くっせ!くっせぇ!!」

 

極太のディルドゥでユキを責める二匹の魔物は上機嫌だ。
周囲の仲間たちに見せつけながら、芝居気たっぷりにおどけてみせる。

しかし今のユキにとって、その恥辱や屈辱が何だというのか。

「あがあ゛あ゛ぁあぁあぁあァアアーーーーーーーッ!!あがぢゃんっ!!あかちゃンンンッ!!」

赤ちゃんはタスケテ。

述語まで言い切れず、赤ちゃん赤ちゃんとだけ泣きわめくユキ。

 

!!ぶしゃぁああああああああっ!!

ついに自律神経の一部が狂い、尿道が爆ぜる。
勢いよく異臭をともなう黄色い液体が吹き出す。

突き込まれる度にキュッ!キュッ!!と股間が力み、その黄色いほとばしりが細切れになる。

責めたてる魔物の顔にもその飛沫が振りかかるが、魔物は避けようともしない。それどころか、まるで構わずに長い舌を伸ばして金色に輝く飛沫を受け止め嘗めとる。

あの魔法少女が無様に小便を吹きこぼして許しを乞うている。
たまらない、たまらない───!!!

極めつけの愉悦と高揚。

「オラオラオラァアアアアアアッ!」

 

灼熱の劣情に脳を焼かれ、魔物の責めはさらに勢いを増し───

 

どぢゅっ……!!

 

「ン゛、ッ、ホォ゛ォッ…ンッ!!!」

 

ユキが低く濁った無様な悲鳴を上げる。

 

子を育む女のゆりかご、子宮の出入口…子宮口にディルドゥの尖端が密着させられていた。

 

ポルチオ。
度重なる蹂躙でぷっくらと充血した桃色の肉の、女の最期の秘門にめりこむディルドゥ。

 

ぱく、ぱく、と陸に上げられた魚のように開閉を繰り返す少女の唇。

 

かすれた声で「もうやめて」「許して」「タスケテ」という言葉が細切れで小さく聞こえる。

 

しかし、そんな懇願など受け入れられるはずもなく。

 

「うひー! ここらでとどめ、キメちまうかぁ?」

 

膣穴を責めていた魔物が、ディルドゥのスイッチに指を伸ばす。

 

かちり。

 

ブイイイイいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!

 

「ヒギャアアぁぁあぁぁああぁぁああぁぁああぁぁあーーーーーー!!!!アーーーーー!!!!ア゛ーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

ユキの絶叫が響く。

ポルチオの肉がそのディルドゥの振動に合わせてぶるぶる震える。いや、それだけでない、伸縮に富む子宮肉すらも揺れ、胎内の羊水も荒波となった。

 

血管と神経を震わせる、それが送り込むのは理外の快感。

地獄のような凌辱のなかでユキの体は苦痛と絶望から逃れるために叩き込まれる振動を快感に変換し、脳を守ろうとしていた。

そう。既にここに至るまでに、少女の肉体には数々の改造が施されている。簡単には壊れないよう心臓や脳をはじめ体のいたる場所に様々な魔術的な処理が施されているのだ。

むろんそれは、女性器やアナルも例外ではない。
極限の責め苦にも耐えられるような汁気たっぷりの肉穴に変貌を遂げていた。

 

「!!!ア!ア゛!ア゛!!!ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛゛ーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

マン汁がだくだくと溢れる。
腸汁がとめどなくこぼれる。

したたり撒き散らされる体液が、ディルドゥを操る魔物の肘までも汚すほど。

とめどない飛沫によって、魔物達は顔までもが汁まみれだ。

 

「…ちきしょう…最高だぜ」

「オゥよっ! たまらねぇ…っ!」

ディルドゥを片手に二匹の魔物が思わず呻き声をあげる。たまらない充足感だった。

 

そう、思えば。
この魔法少女はあまりにも憎々しい存在だった。

ニンゲンの分際で。
我ら魔族の餌やオモチャに過ぎない、下等生物の分際で。

 

妖精と手を組んで、自分を含め多くの同胞を忌々しい『封印の小瓶』に閉じ込め続けてきたのだ。

 

思い出すだけでも、屈辱で全身の血が沸騰しそうになる。

 

しかし、それが今はどうだ。

あの小生意気なメスガキが、汁を吹き出して跳ね狂い、泣き叫んでいるのだ!!

 

「それも、このおれ様の手でぇ!」

 

かちちっ!
ここぞとばかりに、膣を責める魔物が調整スイッチを『強』にした。

 

「ひきゃぁあああああぁぁあああああああぁぁああああああっああああああああああああああああああああっ!!!!!」

 

さらに跳ねあがり甲高くなるユキの悲鳴。

おそらく腹の中の赤子の柔らかい肌も同じようにぶるぶると波立っているのではないだろうかというほどの暴虐。

 

「あ、あかひゃぁっ! あがあ゛あ゛っ……がああああああんんああしんんぁあああああああううううううううっ!!」

 

赤ちゃんが死んじゃううううう!!と制止を懇願するユキの尻の穴も同じく無惨な状況だった。

若々しいアナルはむっちりとディルドゥをくわえこみ、引き抜かれる瞬間、肛門の肉がぐにいいっと引き伸ばされて本来凹であるべき穴回りの肉が凸となって尻から突き出ている。

しかし、直後に突き込まれて体内に収まる。

 

すえた匂いの腸液を撒き散らしながら烈火のピストンに嬲り抜かれる少女の菊の穴。

しかも、そこはこれまでの魔人どもの責めによって徹底的にメスの穴として調教改造され、形を変えられてしまっているのだ。

その証拠にアナルを責め突かれる度に、膣を突かれるのと同様にユキは反応する。

 

「ン゛ホオオオオオオンっ!!お゛しりっ!!お゛しりいいいいっ!!! お゛じり゛がぁああああああっ!!?? ヒアイイイイイイイッ!!ひいいいーーーーーーー!!
ヒッ!!?ヒッ、ヒッ、ヒイイイイーーーッ!!」

 

あまりにも無様な叫び。

かつて高らかに愛と正義を唱えた口が、何という有様か。

「ゲヒャヒャ! おしりおしりと五月蠅ぇったらねぇぜ、このメスガキはよぅ!」

尻穴を嬲っている魔人も楽しくてたまらないようだ。
爆上がりしたテンションで、ユキの悲鳴に応える。

「イイぜえ、だったら尻にもくれてやらあっ!」

 

かちりっ。
ディルドゥのスイッチをオン。

!!ブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブブッツ!!

 

オマンコとケツ穴に埋められた極太のディルドゥが、強電動の不協和音で共鳴する。

 

もはやそれはヒトの許容の限界を遥かに超えるものだった。

 

「!!?ーーーーーーンィイイ゛イ゛イイイイイーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」

 

ユキの目が大きく見開かれ、瞳が上向かせて目蓋に隠れる。
奥歯が割れるのではないかという程に歯を食いしばって地獄の攻めに身もだえる少女。

 

しかし、ポルチオとアナルのふたつの性感帯に暴力的な振動と突き入れを繰り返されているのだ。

 

少女の理性が、長くそれに耐え切れられるはずもない。

 

やがて、

 

「イ゛グっっ!イ゛クイ゛クッ!!!イくーーーーーーっ!!イ゛ッちゃうううううーーーーー!!あぁあぁああぁあぁああぁ…ーーーーーーーッ!!イ゛くウウウゥウウゥウウウウーーーーーーーーーーーっっッッッっっ!!」

 

 

 

全身を突っ張らせ、背中を大きく反り、いや、首がなくなったのではないかというほど反り返り、ユキは絶頂を迎えた。

 

びくん!びくん!びくん!!激しい痙攣を繰り返し、穴という穴の体液を垂れ流す。

 

その顔はもはや知性のかけらもない完全無様なアヘ顔だった。

 

「ふいいっ、ひゃははは、みろよ。腕ベッタベタ。汁が垂れやがる。くっせぇ腸液もだだもれだぜ」

 

そういいながらも長い舌で手の体液をなめとる魔人。見下ろす先には、糸の切れた人形のように脱力した少女。痙攣が徐々にピクピクと弱々しくなっていく様が実に小気味良い。

 

実際、意識が飛ぶほどに責め苛んでやったのだ。

 

「オラッ! そのツラ、皆によく見てもらえや!」

 

仰け反っていたユキの顔をつかみ、魔人たちにさらけだす。

 

「…ゥ………… ァ……」

 

囲み覗き込む魔人達を前に、面をあらわにするユキ。その面貌は無惨そのもの。

 

涙、鼻水、唾液、汗…。
まるで洗面器いっぱいの体液をぶちまけられたように、ぐしゃぐしゃに濡れつくしている。しかし、意識は朦朧としているのか、半ば開いた目と口はまるで白痴のように意思なくヒクついている。

 

「ひょー!! イイ感じで可愛いらしくなったじゃねぇの。愛と正義の魔法少女ちゃんよお!」

 

魔族のギャハハハとあざけ笑う声が響き渡る。指を指し、囃し立ててゲタゲタと笑う。

 

しかし、ユキは自分が晒し者になっていることすら認識できず、だらだら…と唾液の糸を垂らしながら痙攣するのみだった。

 

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生贄の魔法少女が半失神し、魔物達の狂宴がひとときの落ち着きを得た、その時。

 

「フヒヒ……もうそろそろ頃合いかのう」

 

一人の老魔導士が進み出た。

 

顔と手に深く刻まれた皺。たるんだ皮と衰えた顎。
腰が曲がり切った矮躯。
その場のどの魔物よりも貧相ながら、どの魔物よりも暗黒色の影を従えているような異様の老人。

狂騒の中にあった魔物たちが一瞬にして静まりかえった。

 

「……おぉ。ヨーザー爺さん、か」

先ほどまでユキを責め立てていた魔物がやや緊張気味に、魔導士に声をかける。

「珍しくずっと見てるだけだったのにどうした?」

この場の誰もが一目置く存在。
それが、ヨーザーという名の老魔導士なのだ。

 

「ヒヒヒ、待っておったのじゃよ。あの小娘が仕上がるのをのう」

一歩引いた場所から、ユキが責め苛まれる様子を眺めていた老人が落ち着いた口調で『自分の番』を告げる。

どよめく魔物達。
そのうちの何匹かが「そりゃないぜ」「次はおれの番だろ」と不平を漏らしかける。

しかし。

ぱしり、と。
鞭のように触手を操って床を打ち、ひとりの女魔人がそれを制する。

先ほどユキを捕らえた触手の魔女が、二コリと老魔導士に微笑む。

「あらあら。ヨーザー老の責めがとうとう見られるのですか」

優し気な口調。
しかし、その好意はあくまで老魔導士のみに向けたもの。他者に対しては反論や異論を許さぬ冷気も含んでいた。

 

「ほほ。良いのかえ?」

場を制する女魔人に対し、問いかける老魔導士。

「あまり年寄りが出しゃばるものではないと言われれば、おとなしく引っ込むがの」

小さく肩をすくめつつ笑う。

「ハイドラの嬢ちゃんを憎まれ役にするつもりはないぞえ」

老魔導士の女魔人に対する言葉も好意的なものだ。

「それにしても、あのオテンバ娘のハイドラちゃんがのぅ。今や、このような素敵なレディになってもうて……。ほんに見違えるようじゃわぃ」

どうやら2人は知己の関係にあるらしい。

「…わしも年を取るわけじゃの」

寂しげに肩を揺らす老魔導士。

しかし、ハイドラと呼ばれた女魔人は大仰に両手を広げながら、首を振った。

「何を言われますか、大魔導士ヨーザー殿」

女魔人はことさらに熱を帯びた口調で言葉を重ねる。

「先に彼らが遊びに夢中になり過ぎて壊しかけてしまった魔法少女を、見事に蘇生して見せたのは貴方ではありませんか」

 

やがて魔物たちの中からも、老魔導士に対する敬意と期待の言葉が漏れ始めた。

 

「…確かにな。ありゃ見事な手前だったぜ」

「あの噂。『活殺自在の魔界医師』の異名は伊達じゃなかった」

 

ざわめく魔物達。

しかし老いた魔人は首をすくめつつ言った。

「いやいや、今回のワシはオマケみたいなものじゃ。若い皆の衆こそ、この宴の主役。実に見事な猛りぶり。そして、滾りぶりじゃった」

若い魔物達を羨むような目で見ながら、ため息をつく。

「まったくもって素晴らしき益荒男(ますらお)どもじゃ。それに引き換え、ワシときたら最近はロクに勃たぬ有様よ…」

自虐めいた言い回しとともに大きく肩を落とす暗黒の魔道士。

「まったく。麒麟も置いては何とやら、じゃて」

しかし、女魔人ハイドラは知っている。
この老人は決して枯れてなどいないことを。

 

「あらあら。『老いてますます盛ん』とも言いますわ」

気の利いた返しをしつつ、女魔人が老魔導士の手を取っていざなう。
熱い吐息とともに問いかける。

「ゾクゾク、させてくださるのでしょう?」

この宿老の女を責めることに賭ける苛烈さ、凄絶さを知っているのだ。

ハイドラの期待に潤む瞳を前に、ヨーザーは照れたように軽く咳払いをする。

「……参ったのぅ。そこまでこの老いぼれを高く買ってくれるとは…」

などとボヤきつつも。

「こりゃ、腹をくくるしかないわな」

ニィイッと。

狂気の大魔導士は獰猛な笑みを浮かべたのだった。

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もう不平を漏らす魔物はいない。

皆、一歩引いて老人に道を開ける。

多くの魔物は自己を第一とする自惚れの性質だが、この宿老の前ではその限りではないのだ。

皆魔物らしからぬ「同情」と「憐れみ」の表情で、哀れなる生贄に視線を送る。無残に汚濁にまみれつつ床に倒れ伏す、囚われの魔法少女を。

 

「…あぅ……う…」

ユキの口が、再び声を漏らす。
責め苦が止まったことで息を吹き返し、意識を取り戻しかけているのだ。

そして。そのぼやけた視界の中に、たたずんでいるのは。

暗黒の老魔導士。

 

「…あ、あなた……は……」

確か。自らを『大魔導士ヨーザー』と名乗った、お爺さんの魔人。

 

そう。それはユキにとって忘れようのない、最悪の敵のひとり。

強敵の中の強敵だった。

絶対的な防御力を誇る魔法少女のコスチュームをも貫通する、闇のエネルギーの刃『ダークスティング』を操る最悪の魔法使い。

相棒の妖精フルールの光の魔法のサポートがなければ勝負の行方はどうなっていた事か。

強かっただけではない。
あまりにも、おぞましい魔物だった。

少女は思い出す。

同じ町内の少し離れたおうちの若奥さん、ポニーテールで元気な弘子さんが、この老魔人にさらわれてひどいことをされていたときのことを。

ヨーザーの操る魔法生物に絡め取られ、知り合いの女性が嬲られていた光景を目にした時のショックは言葉にできないほどのものだった。

(…あの時、弘子さんは)

女性器とお尻の穴に蛸を思わせる異形の触手をねじ込まれて失神していた。

口から泡を吹き、ビクビクと痙攣していた彼女の姿が脳裏によぎる。

自分もあんな目に合わされるのだろうか。

 

「…ふむ。意識が戻ったようじゃの」

 

ヨーザーの言葉に、ビクンと体が震える。

 

だけど。

ぜったいに、赤ちゃんだけは守ってみせ…

 

「では、さっそくじゃが腹の赤ん坊をいただくとするかの」

 

嘘のような気軽さで。
少女のぽっこりとした腹を指さしつつ、暗黒の魔導士は言った。

 

「ぇ……」

 

ナニヲイッテイルノ?

ワタシのアカチャンを?

思考がうまく働かない。

呆然とした表情で固まってしまうユキ。

しかしヨーザーは構うことなく、魔物たちを前にしてとくとくと語る。

 

「魔法少女と妖精の間にできた赤子なぞ、そうそう手に入るものではない。脳みそをくりぬいてワシの脳の複製を入れるか、精神を完全に上塗りしようかどちらにしようか迷っておるのじゃよ。」

 

常軌を逸した事を平然と口にする老魔導士が、かち、と自身の杖のボタンを押す。

 

薄暗い空間、映写機で映すように映像が浮かぶ。

 

裸電球でオレンジ色に薄暗く照らされた、古びた施設の手術室。

泣き叫ぶ拘束された女の姿。
妊婦なのだろう。お腹が膨らんでいる。

その横には、別の女性の無残な死体。
開腹され、さらけ出された胎内。

手術台のトレイの中には、頭を開かれて頭蓋骨の中がぽっかりと空洞の赤ん坊の姿が見える。

 

「80年ほど前の……満州じゃったかの。二度の世界大戦のどさくさにまぎれて、色々と楽しませてもらったもんじゃ」

懐かしそうに思い出を語ってみせる老魔導士。

 

「当時は人間のふりが楽しくて楽しくて、自分が魔族であることを忘れるくらいじゃった! …ほんに良い時代じゃったわ…」

手術台を囲む白衣の無言の男達の中で、ひとり満面の笑みでメスを振るう老医師。

それこそは、人間に化けたかつてのヨーザーだ。

 

「古今東西、人間同士の戦争は我ら魔族にとって最高の遊び場での! 特に昔のドイツ軍やニホン軍は素晴らしかった! …丸太のように気軽に人体実験の素材が入荷できてのぅ」

古き良き時代の思い出を嬉々として語り始めるヨーザー。

しかし、やがて我にかえり、咳払いとともに話題を変える。

 

「…しかし、まぁ…。…遠い昔を懐かしんでばかりではいかんからのぉ…」

 

再び、かちり、と鳴らされる魔術師の杖。

「これなどわりと最近じゃ」

新たなる映像が映し出される。

 

先ほど披露されたものと同様にどこかの手術室の中の出来事のようだったが、全体的に室内の照明は明るめで近代的な施設だった。

 

映像の中央には、太い針を下腹部に二本刺された女がベッドの上で悶えている。

その針は子宮内まで貫通し、赤子の脳にも突き刺さっていた。

 

そしてその針にはコードが繋がれており、その先にはでっぷりと太った蛙のような巨漢の魔人が寝そべっている。

 

「これは、顔馴染みの魔人に頼まれておこなった施術じゃ」

 

映像に映っているのは、頭に電極とコードを繋いでニタニタと笑っている巨漢の蛙男。

ベッドで横になっている妊婦と蛙男の横で、白衣を着たヨーザーが人間の医師のように手際よく様々な機械を操作している。

「人間どものコンピューターという技術はなかなかのもの。いわばあれは、電子計算機の化け物じゃ」

熱を帯びた口調でヨーザーが説明を続ける。

「それを使って我ら魔族の意識を電気信号化し、未発達の人間の脳に送り込もうという試みじゃった」

解説の最中、映像に凄まじいエネルギーが走る。

ベッドの上の女がのたうち回り絶叫する。

「人間の変身が苦手な魔物に代替案として、胎児への乗り移りを提案することもあるのじゃよ」

映像を前に説明を続けるヨーザー。

電流が終わって、しばらくしたあと。

女は突如、絶望の声をあげて泣き叫び傍らに置かれていたメスをつかんだ。

それを腹に向かって突き刺そうとしたところで…,

 

再びかちり、と杖のスイッチが鳴り、それと同時に映像が消えた。

「この時は母体となった女に抵抗する力が残っておったのが、不幸じゃったの」

老魔導士が痛まし気に顔の皺を深くして語る。

「…なんで、あそこで腹の中から母胎に向かって声をかけるかのぉ…」

深い溜息の後、老魔道士は魔物たちに向き直って言った。

「皆の衆、ゆめ忘れるな。過ぎた遊び心は時に命取りとなるのじゃ」

しかし、その言葉に応える者はいない。

すでに多くの魔物達が声を失っていたからだ。人間を弄び楽しむことを性(さが)とする魔物達であっても、老魔道士の言うような『遊び』は知らないもの達がほとんどなのだろう。

しかし、どの魔物も圧倒され呆然としつつも、興奮で目をギラつかせている。

ヨーザーに最上級の敬意を示していた女魔人ハイドラもそうだった。

見れるのか。
今、この場でそれを。

触手の魔女が、しきりに唇を舐めている。
優雅を信条とした性格の持ち主であっても、興奮は隠しきれないようだ。

そのような若輩達の反応を楽しむように、ヨーザーはとくとくと講義を続ける。

 

「胎児の脳のくり抜きと入れ替え。もしくは、別人格の流し込み。どちらも五十回ほど実験したから、普通にやれば失敗はないんじゃ。」

結論づけるように、老魔導士が言葉をまとめた。

「特にこやつは若いし心配はないじゃろ」

 

ユキのほうを見やり、にまあ……と唇を歪ませて笑う。

 

「……え?……ひ、や、やぁ、ああ、あ……」

ユキはガチガチと歯の根が噛み合わない。

ヨーザーの狂気の講義を、彼女が黙って聞いていたのはただただ恐怖ゆえのこと。

いまだに尻の穴には極太のディルドゥが咥えられているが、体がバイブそのものになったのではないかというほど震えている。

 

全身が脂汗とまみれ。

ちょろちょろと。失禁まで始まる有様。

 

「…ほほ。まぁ元気で何よりじゃ…」

 

暗黒の魔導士が、ゆっくり近づいていき…。

 

「あ、あわ、あわわ……やッ、やめ…やめて、やめて…やめてえええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 

我にかえったかのように、ユキの声帯が機能を取り戻す。

絶叫が響いた。

 

________

 

 

 

「フッグウウーーーー!!ヴゥゥウーーーーー!!!ぐひゅうううーーーーーーーーっ!!!」

 

ユキは全身を拘束されて分娩台に乗せられていた。

 

先ほどの触手による拘束とは違い、今回は無機質な金属製の拘束器具だ。
口にはギャグボールを噛まされ、誤って舌を噛むことのないように処置されている。

既に魔導士ヨーザーによる特別性の陣痛誘発剤を投与されている。

断続的に襲う下腹部の痛みにユキは泣き叫ぶしかない。

「……フゥウウっ! フッグウウヴゥウーーーーーーーーーーーっ!!!」

口枷の舌で悲鳴を上げ続ける少女。

 

ぎゅううううう…ッ!!

陣痛。
本来ならば喜ばしくもある命の痛みも今のユキには絶望へのカウントダウンだ。産まれるフルールとの愛の結晶はそのまま魔神のおもちゃとなる。

いやだ。
イヤだ……嫌だ。
生まれちゃダメ。
お願い。
あなたは私のお腹のなかに居て。
私が、絶対、私が守るから……

 

胸の中で叫びながら、必死に痛みと戦うユキ。

 

しかし、その祈りもむなしく。

 

ぎゅうううううううっっ!!

 

再び 襲い来る陣痛。

 

「ふびゅううううううっ!!!!」

 

ひときわ大きな痛みにユキが悲鳴を上げた瞬間、ユキは自分の尻が激しく濡れるのを感じた。

 

「フヒヒ、破水じゃ」

 

そう。
産みたくない、などというユキの願いがいつまでもかなうわけがない。

少女は今、強制出産ショーの渦中にあるのだ。

 

股を大開きにしたユキの前には魔人たちの目、目、目……。

そして。
ドー…っと流れ落ちる羊水。

歓声を上げる魔人たち。

 

「ヒギュウウっ!ンブオオウウッっ、フブウウウウーーーーッッ!!」

 

内蔵を押し広げられる苦痛に泣きあえぐユキ。

 

そのユキの肉の割れ目に魔法で操られる四つの触手が襲い、ぐいいっと割り咲いた。

くぱあ!! と開いたメスのにおいのする穴が晒され、ひくひくと蠢く子宮口。

 

「うふふ…。たまらないわ…。少女のままに母親となる、その姿…」

陶酔したようにハイドラが呟く。

事実、まだ幼さの残るユキの顔と乳房、それら上半身と大きく開かれつつある産道が覗く下半身の対比の絵図は残酷そのもの。

 

「フビュ〜〜ッ!! ヒギュッ! ンウウウウウウウウウウウウウウウッ〜〜ッ!」

かつてない激痛に口枷の下で絶叫を続ける敗北の魔法少女。

みきみきみき…子宮頸管がほぐれ、ゆっくりと口を開き始める。

陣痛の感覚は狭まり、出産が近いことをユキに知らせている、子壷の収縮は続き、その波は襲いかかる。

 

「ヒィーーッ、ヒィーッ、ヒィィーッ!ヒィィィーッ!」

 

あられもなく悲鳴をあげるユキの反応に、ヨーザーはほくそ笑む。

 

「クヒヒヒ…」

 

ヨーザーの手が下腹部に押し当てられると収縮する子宮の中で動き回る巨大な固まりがモニターに映し出された。

モニターに映るその固まりが胎児であることを説明するヨーザー。その掌がピンク色に光を放ち始める。

何らかの魔法を発動させたのだろう。

間もなく、脱出口となる子宮口目がけて胎児が移動を始めた。
それも、まるで突進するかのような勢いで。やがて、ユキの子宮口はそれに押し負けるかのようにジワジワと開大しはじめていた。

「…いぎっ?……ひう!?」

突如始まった次のステージの激痛に悶える少女。

今、まさにユキの『子供』が、外に出ようとしているのだ。

 

「ひびゅうぅ……うぅう~ッ!」

 

(ダメぇぇぇええっ!!生まれちゃだめっ!!殺されちゃうっ!殺されちゃうから私の、私のお腹の中にいてっ!おねがいっ、おねがいよおおおっ!!!)

 

ひきつったうめき声を上げて、体を揺するユキ。我が子に必死に懇願する。

 

しかし、激しくなる一方の陣痛が出産が間近に迫っていることを教えていた。

 

「ヒッ!?ヒッ、ヒッ、ヒィィィイィィ!!」

 

激しい陣痛とともに体の奥底が開いていくのを感じた。

 

「うぅうッ、はぎぃいぃっ!いぎァッ!ヒュグゥゥウッ、フング、ギ、ギイイイイイッッ、フュグウウウウウンッっ!」

 

ついに。ユキは自分の骨盤がべきりと割り広げられるような感覚に襲われた。その圧迫感に獣のような悲鳴を上げる。

 

子宮口がいっきに開口を早め、ユキの胎内を覗かせ、

 

張り詰めた腹がブルッと震えたかと思うとユキの肉がぐばぁ、と開いて、黒髪が現れた。

 

「アッ、アォォッ、オォオ~ッ……ひ、ヒォオオオォッ!!アガァッ、アッオゥッオッオッオォ~~~~~~~~!!」

 

現在の日本において、平均的な出産年齢よりも遥かに早い出産。
衝撃が、ユキが襲っていた。

 

少女の肉体と精神が、それに耐えられるのか。

 

(これは生の声を聞きたいのぉ)

 

ヨーザーは舌なめずりし、皺だらけの指を伸ばしてユキの口に固定されてたギャグをはずす。

 

拘束具が口から取り除かれた瞬間。

「ひ、ひぃいいっ、あ、ああっ、やぁあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

無惨な叫びがほとばしる。

 

「産みたくないっ!!産みたくないいいいっ!! フルール、たすけてっ!たすけてぇぇぇ~~~~ッ!!!」

まさに老魔導士の期待どおりだ。

ユキの股間のすぐそばまで押し寄せて、その間を覗き込むヨーザー。

 

「フヒヒ、出てきたぞ!さあ、いきめっ!!いきめっ!!さっさとひりださんかっ!!!」

 

無理矢理に開かされたワレメから広がる肉色の膣腔内と、ヒクヒクとうごめく子宮口… ユキの乳房と膨れ上がった腹部が激しく痙攣している。

 

汗が珠となって飛び散る。

 

「ヒッ、ヒッ、ヒィィ~ッ!ヒィィー…ッ、ふぅ…ふぅ…あああっ、もうっ………ッ!!!もうダメぇ………キ、キツイっ!ウウッ!うぅぐ…っ!おぉぉぉぉぉっ! ゆるしてっ! おねがい、もぉゆるしてぇええ!」

 

ゆるして。

その弱音ともとれるユキの言葉にヨーザーが過剰に反応する。

「バカタレめが! ここは正念場じゃろうに!」

この期に及んでいったい何を『ゆるして』というのか。

憤怒で顔を真っ赤にしたヨーザーは指を伸ばし、ユキの割れ目の上、クリトリスをつまみ上げた。

 

「気合を入れるのじゃ、小娘!!」

 

膣口が割けんばかりの痛みに、さらなる鮮烈な痛みが加わる。

それはさながら痛苦の十字架刑だ。

 

「ヒィィイ ッヒィッ、キィィイイイイイィイイイイイィイイイイイーッ」

 

理外の衝撃に少女が絶叫する。
身体中の毛穴から汗が噴出し、歯を食い縛る。

 

その瞬間、開ききったユキの最奥を押し広げてずるるんっ!と半回転しながらぬめる肉の塊が姿を表した。

 

「ほほほっ!!出てきたっ!!出てきたぞ!」

 

「アア゛ァァアアアーーーーッ!!!だめっ!!ダメダメだめだめだめーーーーーーッ!!赤ちゃん!!赤ちゃんダメえええええっ!!産みたくないっ!!こんなの、こんななかで産みたくないっ!!生まれないでぇぇーーーーーっ!!」

 

今この場で産まれれば、魔人達のおもちゃになってしまう。

 

『産まれないで』『私のなかにいて』

 

あまりにも刹那的な、しかし切実な願い。

 

その願いを叶えたのは他でもない眼前の老魔人だった。

 

「なんじゃ、そんなに産みたくないのか。それなら叶えてくれるわィ」

 

「え……?」

 

何を言っ……

 

めこりっ!!!

 

「ほごおおおおっ!!!!?!!?!?!??!」

 

ぶびゅっ!とユキの鼻水が20cmほど飛び、胸元に落ちた。

 

このとき、ヨーザーがおこなったこと。

それはまさに暴挙そのものだった。
あろうことか、赤子の頭をつかみユキの胎内に押し戻したのだ。

 

「ア゛……? あ゛……?」

 

混乱し、ヒクヒクと顎を震わせるユキ。

 

何をされたの? 私の赤ちゃんに何が起きてい…

 

ずぅぬるるる~~っ!!

 

「お゛おおお゛おおおおおおおおおおおおおんっ!!!」

 

無様な声で叫ぶユキ。

複雑な形状の胎児が、引きずり出される形で子宮頸管を押し通るのだ。それにともなう激痛は筆舌に尽くしがたい。

 

そして再び。

 

めこぉっ!!

 

「っ…?…!!……ん゛ぃっ…いいああああああああああああいああああっ!!」

 

ぬるるる~、めこぉっ!ぬるるる~ッ!!!

 

ようやくユキは理解する。今、何が起きているかを。

 

出し入れされているのだ。赤ん坊の体を。

 

なんという狂気か。
暗黒魔導師ヨーザーは出産の最中に赤ん坊の体をまるで『責め具』のように見立てて、押し込んだり引き戻したりしてるのだ。

 

「あ、ぎゃ、あはああーーーーーッ!!!ヒギイイイイイイッッ!!!ん、オ゛おおおおおおおおおおおおうっ!!!や、やべでえええええええええええええええええええええええええ~~~~ッ!!!!赤ちゃんが、赤ちゃんがっ、死んじゃうううううううううううッ!!!!」

響き渡る絶叫。

しかし、この極限の狂気と暴虐の中で、なお。

ユキの思考は機能していた。

大事な赤ちゃんが、自らを責める道具に堕ちている。

なんてひどい。
どこまで彼らは私を苦しめ辱めるのか。

いや、それはいい。

けれど、しかし、こんな乱暴に扱われたら赤ん坊のか弱い身体は壊れてしまう。

 

やめて。お願い、それはやめて。

お願いします。やめてください。

それだけはやめて。

それをやめてくれたら。
他の事なら、私はなんでもしますから。

 

しかし、その思いを少女の口はうまく訴えることができない。

「おおおねがっ、お願いいっ、じまっ……あああああああああ、……ッやめでええええええッ、なな、なんでもおおおおおおっ、お、おおおあああ、ぁがああああああああああああああああっっ!!」

その有様に、女魔人ハイドラは可笑しくてたまらない、といった様相で笑いを噛み殺している。

くくく、く。と。

触手の魔女が、生贄の少女を笑う。

さもあらん。

無様なのは上の口だけではない。
下の口からはぶしゅぶしゅと愛液が垂れこぼれ、あまりなも惨めな様を晒しているのだから。

ここに至っては、老魔導士も興奮と高揚を隠そうとはしなかった。

 

「フヒヒ!!イけっ!!いけ!ユキ!!イッてしまえ!!」

満面を狂喜で染め上げて、凶事に興じるヨーザー。

 

他の魔物たちは圧倒されるばかりだ。

 

「……やべぇ……このジイサン、やばすぎるぜ……」

「…これが…かの大魔導……。噂に違わぬ外道ぶり……」

 

そんな観客たちのざわめきを軽く聞き流しつつ、狂気の魔導士は脳裏では冷静に計算を重ねていた。

 

(…しかし。そろそろか)

(イク時、この小娘はきゅううっと肉を締め付けるはずじゃ)

 

(ならば、それに合わせて……。ふひひ、きっと面白いことになるぞぃ)

 

意を決して大一番の仕上げに入るヨーザー。
その手の動きが次第に大きくなっていく。

 

メコメコメコメコメコメコメコメコ、ヌグュヌグュクグヌグュヌグュ、グチュグチュグチュグチュ!!

 

「お……ぉごお゛ぉぉぉんんんっ!!??????ん゛おお゛お゛ほぉおおお~~~ッ!!??????しぬっ、しんじゃう゛ぅうぅ~~~………ッ!????たすけてっ!フルールッ!!たしゅけてっ!!、たひゅけてぇ~~~~~っ!私と赤ちゃんをダズゲデエエエエエーーーッ!!!あ゛あぁぁあぁぁあああ~~~!?!!!!イ、イ、イ…」

 

バタバタと拘束された四肢を暴れさせ、狂ったように首を振る。
玉の汗と涙、そして羊水と愛液、小便が飛び散り舞う。

 

敗北の魔法少女の行きついた先。
それはまさに阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

 

________

 

「ふふふ…。恋人がひどいことになっているわよぉ? 励ましの言葉くらい、かけてあげてはどうかしらぁ?」

魔法を得意とする女魔人ハイドラがニヤニヤと笑いながら、手元の魔術書の表紙に貼り付けられた半死半生の妖精をつつく。

 

「あああ……ユキ、ユキ…」

 

絶望の声が漏れる。

かつて魔物を封印する使命を魔法少女ユキとともにした妖精の少年フルールは、ただ泣きながら愛する少女の悲鳴を聞いていた。

今、フルールは女魔人の魔導書に貼り付けられて魔力を吸い取られながら、その魔法を使役させられている。

妖精が得意とする様々な魔法も、いまや捕らわれの魔法少女を嬲り続けるために悪用されている有様なのだ。

「ふふ…。回復魔法や蘇生魔法も使い方次第よねぇ? 壊れても直せるのなら、繰り返して遊べるのですもの」

 

悪意たっぷりの笑みを浮かべるハイドラ。

 

その傍らでは、魔物たちの玩具と成り果てた哀れな少女がついに決壊を迎えていた。

 

 

 

「イッくううううううーーーーーーーーー!!!イクーーーーーーーーーーーー!!!イクーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

 

ユキの絶叫。

 

 

ぎゅううううう、っと絶頂と共に肉壁が収縮する。そこにあった肉を締め付けながら。

 

そう、へその緒が繋がった我が子を締め付けながら。

 

ちょうど頭だけが肉の割れ目から飛び出しており、しっかりと子宮口がぎゅうぎゅうとその頸部を締め付けていた。ぶるぶるぶると痙攣していた赤子の顔が羊水焼けした赤から紫に変わっていく。

そして、やがて。

「… ———————————————————————–ッッ——- —— —— —— —— ッ…… ……」

がくんがくんと壊れた人形のように首を振っていたユキだったが、やがて力つきてカクンと首を落とす。

ついに失神してしまったのだ。

それと、ほぼ同時に。

ユキの下腹部で、赤子がかひゅっ、とちいさな鳴き声をあげて動かなくなった。

 

「ヒヒヒヒ……ヒャハハハッッ!!!殺ったぞ!!殺りおったぞ!!!自ら赤子をくびり殺しおったぞ!!」

それを目の当たりにして狂喜するヨーザー。

 

「起きろ!!起きんか!!」

 

ビシッ!!ビシッ!!

亡我の境地にあるユキの顔を何度もはたき、顔を引き上げる。

再び開かれる少女の双眸。

 

その先には他の魔人に用意させた大きな鏡が。

 

そしてユキは見た。

命が消えたことが明らかな、もはや肉塊となった赤ちゃんがだらりと舌を伸ばしてこちらを光の無い目で見ているのを。

 

悪魔すらもおののく笑顔を浮かべたヨーザーの横のユキの顔がゆっくりと、しかし確実に恐怖と絶望の表情に変わっていく。

 

「ヒ…ヒ…ヒイイイイイイイイーーーーーーーーー!!!!!イヤァァアーーーーーー!!!!!!!イヤアァアアーーーーーーーーーー!!!!ウソッ!!嘘よおおおおおっ!!!こんなのっ!!こんなのぉおぉぉ!!!」

 

限界をはるかに超えた恐怖と絶望に、狂ったような悲鳴をあげる生贄の魔法少女。

 

ヒャーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!

 

笑う。暗黒の魔導士ヨーザーが笑う。

それに続く形で。

ギャハハハハハハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!

魔物たちが笑う。
たまらない喜悦に震えて笑う。

完全なる敗北を与えた満足感で、数十もの魔物たちが一斉に哄笑する。

 

泣き叫び続けるユキを前に、ヨーザーは幸福の絶頂にあった。

 

「たまらん、たまらんっ!!」

これからの凌辱のアイデアが次々と浮かんでくる。

 

この赤ん坊の亡骸を使って、バイブでもこさえてみようか。

いや、それよりも。

やはりこの娘をもう一度あの妖精と孕ませて、新たな赤ん坊を作らせよう。そして、その体をなんとしても乗っ取る。

そして、犯し尽くす!!

息子に体に乗り移ったわしに犯されるとき、少女はどのように泣くのだろうか?

たまらん! たまらん!!

 

 

老魔導士は未だに泣き叫ぶユキの髪をつかみ、少女の顔を自身に向けてじっくりと眺めた。

 

そして、べろべろとなめる。

 

愛い。じつに愛い娘だ。

 

封印されたときは、許せぬと思った。

 

小娘相手に思わぬ敗北を喫した時は悔しくてたまらなかった。

 

骨も砕けよと打ちのめされ、地に転がされた時は呪うしかなかった。

 

正義を気取る生意気な小娘め、と。

 

老い衰えて枯れ木のように成り果てた我が身を嘆くしかなかった。

それが今やどうだ。

 

自身の股間に熱い滾りを感じる。

何年ぶりの屹立だろう。

 

これも全てこの娘のおかげ。

魔法少女ユキ。

まさに、ワシを楽しませるためだけに生まれたような娘だ。たまらん!!

そう簡単に死ねぬ身を呪うがいいぞ!!

未来永劫責めぬいてやるわぃ!

 

覚悟しろ!

魔法少女ユキ!!!

 

________

 

「解呪(ディスペル)」

狂騒の中、冷淡なほどに落ち着き払った声で。
解除の呪文が唱えられる。

すると。

ユキの秘所から、少女の前腕部ほどもありそうな巨大な芋虫がぼとりと落ちた。

 

「ヨーザー殿。これは貴方がかけた幻術でしょう? 自ら完全に騙されてどうするのですか?」

「……う……むむぅ?」

 

やや呆れたような口調で、女魔人ハイドラが老魔導士をたしなめる。

 

まるで白昼夢を見ているかのように心ここにあらずといった様子のヨーザーだったが、しばらくぼうっとした後で我にかえった。

 

「……あ。…。……そ、そうじゃったな……。確かにこれは、幻術であった」

 

正気を取り戻した老魔導士がバツが悪そうな顔をした後で、頭を幾度も強く振る。
まるで深酒した後の悪い酔いを覚ますかのような格好だ。

しかし、その周囲の床の上ではいまだ幻術から覚めない他の魔物達が笑い転げている。

ただでさえ知性が足りない魔物たちが、床の上でごろごろ転がりながら『そこにない何か』を見て喜び騒いでいる姿は、実に無様だ。

「さすがにこの連中の面倒までは、見る気になれませんわね」

ハイドラは冷たく言い放つ。

「まぁ、しばらく放っておけば勝手に目を覚ますでしょう。……それよりも……」

妖精フルールを貼り付けた魔導書を片手に、女魔人は老魔導士に慇懃に一礼した。

「実に、お見事な手練手管でした」

流麗な口調で女魔人が続ける。

「精神が壊れかけた魔法少女に幻術をかけ、再び生気を取り戻させるという方法。さらには少女の腹の中に仕込んだ妖虫を、妖精との間にできた赤ん坊と認識させる暗示。いずれもヨーザー殿ならではのもの」

しかし、すぐに厳しい表情で老魔導士に向き直る。

「ですが、その後が良くないですわ」

断定的な口調で、女魔人は老魔導士に言い放つ。

「ご自身で用意した幻術に取り込まれてしまうなど不始末そのもの。このようなことは、大魔導士の名折れでしょうに」

ハイドラの指摘はなかなかに辛辣だった。

魔法少女への暗示を完全に成功させるために、自らを含めた魔物とも少女にかけた幻術を共有したこと。

皆で『少女の子宮には妖精との間に出来た赤ん坊がいる』という『でっちあげの物語』を楽しんだこと。

……そこまでは良かったとしても。

最後の最後に術者がそれを失念してしまい、自身もまた幻術の中に飲み込まれ狂乱してしまったのはいただけない。そう彼女は指摘しているのだ。

「ええい、ねちねちと! あまり年寄りをいじめてくれるな!」

自らの不手際を素直に認めたくないのだろう。

「それよりも、じゃ。小娘の子宮に仕込んだ虫を成長させて、赤ん坊と認識させる発想こそを褒めて欲しいところじゃわぃ」

「ええ、確かに。見事に騙されて、特大サイズの寄生虫を我が子と勘違いしていたユキちゃんの頑張りぶりといったら。可愛すぎて、たまりませんでしたわ」

くすくすと笑い出すハイドラ。

しかし、笑いながらもヨーザーに釘を刺す。

「ですが、それとこれとでは話が別でしょう? 今後は大がかりな幻術の使用は控えるべきでしょうね」

「五月蠅い! 老いぼれの仕事に精度を求めるでない!」

ついには、そっぽを向いてしまう老魔導士。

 

……その、視線の先に。

 

床の上の魔物達と同様、いまだ幻術が解けていないユキがいた。

いまだ、分娩台の上で拘束されたままの姿で。

泣いていた。ぽろぽろと、涙をこぼして。

しかし。
それは哀しみや痛苦の涙ではない。

安堵の涙だ。
少女は、泣きながら笑っているのだ。

嬉しそうに。この上なく、嬉しそうに。

 

「……あ……。 ……赤ちゃん、生きて……る…… ……いきてたぁ……よかったあ…。…よかった……」

 

ユキの股間から落ちた、芋虫のような妖虫。

魔術師ヨーザーの手によって生み出されたその虫は、いまだ生きていた。生命力たくましく拘束台の脚の部分をのぼって進み、再び母体に戻ろうとしている。

肥えたウジのような見てくれのおぞましい魔界の生物。
しかしそんな姿でも、必死に母体のもとに戻ろうとしている姿は不思議と愛嬌があった。

ついに再びユキのもとに到着し、その体液をぴちゃぴちゃとなめ始める。

おそらくは、なんらかの責めのために作られた淫虫なのだろう。

 

しかし、今なおユキはヨーザーのかけた暗示と幻術の中にいる。

「……あかちゃん……ああ、わたしの……あかちゃん……」

先ほど自らの子宮から生み出したそれが、ユキには今も赤ん坊に見えている。

そう。いまだ、彼女は残酷なる幻を見ているのだ。

優しい、悪夢を。
魔術によって作られた巨大な寄生虫を、我が子と認識させられるとびきりの悪意の物語を。

 

「…あらら。これは予想外の続きですわ」

「うむ。どうやら、まだまだ遊べそうじゃ」

 

ヨーザーとハイドラが顔を見合わせてくつくつと笑う。

 

連日の責め苦で精神を摩耗してしまい、壊れかけていた少女に『母親になる』という暗示をかけて抵抗の意思を取り戻させるという狙いは見事に当たったのだ。

いっそ、しばらく暗示を解かずにおくのも良いかもしれない。
赤ん坊と思わせたまま寄生虫を抱かせてやるのも面白いのではないか。

「ほれ。手足の拘束を解いてやるぞい」

老魔導士がぱちりと指を鳴らすと、ユキを固定していた分娩台のような拘束具が解除される。

妖虫ともども、べちゃりと床に落ちるユキ。

「……あ……っ、ああ……あかちゃん、……あかちゃん…」

自らが撒き散らした体液の水たまりの中で、ずりずりと這いながらユキはもぞもぞと動く妖虫に手を伸ばす。

哀れな少女はなおも夢から覚めることなく、必死に抱きしめて守ろうとするのだ。

 

「…だいじょうぶ……だいじょうぶだよ……こんどはちゃんと……ママがまもるからね……なにがあっても……まもってあげるから……」

 

母親が赤子を抱くように、妖虫をやさしく胸に抱いき口づけして微笑むユキ。 胸の先に虫の口を当てているのは、乳を与えようとしているのだろうか。

陶酔したような幸せな微笑み。
今、ユキは間違いなく美しかった。

少女が母親となったときに見せる完璧な美。

しかし、それは敗北の魔法少女が束の間の幸福な夢を見ているだけのことなのだ。

 

「……ユキ……ああ……。……ユキ…、僕は……。……ぁあ……………」

 

魔導書に取り込まれた妖精の少年には嘆くことしかできない。

この、薄暗く照らされる闇の中で。

やがて再び絶叫が響きわたることになるであろう、この魔界の闇の中で。

 

【終】

 

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